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NEW コラム 2026.03.24

フォークリフト安全教育の進め方!対象者やタイミング・講習内容を徹底解説

フォークリフト安全教育の進め方!対象者やタイミング・講習内容を徹底解説

 

フォークリフト運転業務に従事する作業者には、定期的な安全教育の実施が求められています。

しかし、どのような内容を「いつ」「誰に対して」実施すればよいのか分からず、悩んでいる担当者の方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、安全教育の種類や対象者、実施のタイミング、具体的な講習内容を中心に、フォークリフト安全教育の進め方について解説します。

また、フォークリフトで起こりうる事故の原因や、具体的な対策も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

フォークリフト安全教育とは?

フォークリフトの安全教育は、労働安全衛生法第59条に基づくものと、同法第60条の2に基づくものに大別されます。

ここでは、それぞれの法律が定める安全教育の内容や、関連する3つの主要な講習について、詳しく解説していきます。

フォークリフト事故の類型と災害発生状況

厚生労働省の統計によると、フォークリフトによる労働災害は毎年約2,000件発生しており、そのうち死亡災害も年間20〜30件程度という深刻な状況が続いています。

事故の類型としてもっとも多いのは「はさまれ・巻き込まれ」で、死傷災害全体の約3割(35.4%)を占めます。

次いで「激突され」(約27%)が続いており、この2種類を合わせると全体の約6割強に達します。

 

出典:一般社団法人日本産業車両協会「フォークリフトに起因する労働災害の発生状況

出典:陸上貨物運送事業労働災害防止協会「フォークリフトによる災害発生の特徴と問題点

労働安全衛生法第59条に基づく安全教育

労働安全衛生法第59条では、事業者が労働者を雇い入れた際、または作業内容を変更した際に、その業務に関する安全衛生教育をすることを義務付けています。

これは「雇い入れ時等教育」と呼ばれ、フォークリフト業務に限らず、すべての事業場で適用される基本的なルールです。

教育内容は、機械の危険性や正しい操作方法、点検の方法、関連法令など、業務を安全に行うために必要な知識について、労働安全衛生規則で具体的に定められています。

フォークリフトの運転資格がない未経験者を補助作業員として雇い入れる場合も、この教育の対象です。

 

出典:労働安全衛生法「労働安全衛生法第59条

労働安全衛生法第60条の2に基づく安全教育

労働安全衛生法第60条の2では、すでに「危険」または「有害」な業務に従事している労働者に対し、事業者が定期的に安全衛生教育を実施することを定めています。

詳しい内容は後述しますが、一般に「フォークリフト運転業務従事者安全衛生教育」と呼ばれているものが、同法に対応したフォークリフト業務の安全教育です。

第60条の2に基づく安全教育では、第59条の教育とは異なり、事業者に対する努力義務とされています。

しかし、技術の進歩や法改正、新たな事故事例などの最新情報を運転者に提供し、労働者の安全意識を高く維持する上で、極めて重要な再教育といえるでしょう。

 

出典:労働安全衛生法「労働安全衛生法第60条の2

フォークリフト安全教育に係る3つの講習

フォークリフトの運転や荷役作業をするためには、定められた講習を受けて資格を取得する必要があります。

資格取得を目的とした講習ですが、内容には安全操作の方法も含まれるため、大きく見れば安全教育の一つとして分類できます。

フォークリフト業務に携わる場合、関係する主な講習・教育は3種類あります。

それぞれの内容について、詳しく見ていきましょう。

フォークリフト運転技能講習

フォークリフト運転技能講習は、最大荷重が1トン以上のフォークリフトを運転するために必要となる、国家資格を取得するための講習です。

講習は、各都道府県の労働局長に登録された教習機関(自動車教習所やメーカー系の教習センターなど)で実施されます。

関係法令や力学などの「学科」と、実際のフォークリフトを用いた「実技」で構成され、それぞれの試験に合格することで「フォークリフト運転技能講習修了証」が交付されます。

フォークリフト特別教育

フォークリフト特別教育は、最大荷重が1トン未満の比較的小型なフォークリフトの運転・荷役作業に必要となる教育です。

技能講習とは異なり、国家資格ではなく、事業者の責任において実施されます。

外部機関への委託も可能で、内容は学科6時間、実技6時間以上と定められており、修了試験は義務付けられていません。

ただし、事業者は誰にいつ教育を実施したのか、記録を保管する必要があります。

フォークリフト運転業務従事者安全衛生教育

フォークリフト運転業務従事者安全衛生教育は、すでに技能講習または特別教育を修了し、現にフォークリフト業務に従事している者を対象とした再教育です。

労働安全衛生法第60条の2に基づき、事業者に実施が推奨されている努力義務の教育となります。

この教育の目的は、運転者の知識を最新の状態に更新し、安全意識を再確認させることです。

一般的に「フォークリフトの安全教育」という場合、この経験者向けの再教育を指す傾向にあります。

フォークリフト運転業務従事者安全衛生教育とは?

フォークリフト運転業務従事者安全衛生教育は、資格を持つ運転者のスキルと安全意識を維持・向上させ、労働災害を未然に防ぐための取り組みです。

この教育の具体的な対象者、講習内容、法的な位置付け、そして実施方法について解説していきます。

対象者と実施のタイミング

フォークリフト運転業務従事者安全衛生教育の対象者は、運転技能講習や特別教育を修了し、すでにフォークリフト運転業務に携わっているすべての人です。

実施のタイミングについて法令で明確な周期は定められていませんが、厚生労働省の通達により「おおむね5年に1回」の実施が望ましいとされています。

ただし、以下のようなケースでは、5年の周期に関係なく実施すべきとされています。

  • 取り扱うフォークリフトの機種・型式が変わる場合
  • フォークリフトに起因する労働災害が発生した場合
  • 資格取得後、実際の業務に就くまでにブランクがある場合
  • 作業環境・法令・体制に大きな変化があったとき

講習内容

講習内容は、厚生労働省が公表しているカリキュラムに基づいており、主に座学(学科)形式で行われます。

時間は6時間程度が一般的で、具体的な科目には以下のようなものが挙げられます。

  • 最近のフォークリフトの特徴
  • フォークリフトの取扱いと保守
  • 災害事例と法令関係

法的な位置付け

フォークリフト運転業務従事者安全衛生教育は、事業者が教育を実施するように「努めなければならない」という規定であり、法的な義務ではありません。

実施しなかったことに対する罰則規定は設けられていませんが、労働災害が発生した場合において、安全配慮義務を怠っていたと判断されるリスクがあるため注意しましょう。

また、講師の資格についても法的要件はなく、安全衛生教育の指針内では「業務に関する最新の知識並びに教育技法についての知識及び経験を有する者」としか記載されていません。

ただし、後に通達された指針内では、フォークリフト運転業務従事者安全衛生教育講師養成研修を修了した者が望ましいと記載されています。

実施方法

フォークリフト運転業務従事者安全衛生教育を実施する場合、以下のような選択肢があります。

  • 外部機関での受講:登録教習機関や陸上貨物運送事業労働災害防止協会(陸災防)などが主催する公開講習に参加
  • 出張講習の依頼:専門機関から講師を自社に招き、社内で講習会を実施
  • 自社(内製化)での実施:十分な知識と経験を持つ従業員を講師として、社内で教育をする

どの方法においても、安全配慮義務の観点から、教育を実施した記録(日時、場所、内容、講師、受講者名)の保管が実務上必要となります。

フォークリフト安全教育を実施するときのポイント

フォークリフトを使った現場の安全意識を高めるには、安全教育を形式的な行事で終わらせない工夫が必要です。

ここからは、より効果的な安全教育を実施するための具体的なポイントについて、3つの観点から解説していきます。

教育内容

労働安全衛生法第59条に基づく安全教育の内容は、以下のように規定されています。

  1. 機械等、原材料等の危険性又は有害性及びこれらの取扱い方法に関すること
  2. 安全装置、有害物抑制装置又は保護具の性能及びこれらの取扱い方法に関すること
  3. 作業手順に関すること
  4. 作業開始時の点検に関すること
  5. 当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防に関すること
  6. 整理、整頓及び清潔の保持に関すること
  7. 事故時等における応急措置及び退避に関すること
  8. 前各号に掲げるもののほか、当該業務に関する安全又は衛生のために必要な事項

効果的な安全教育を実施するためには、上記カリキュラムをベースにしつつ、自社の実態に合わせた内容にカスタマイズすることが必要です。

実施方法

教育の実施方法について、法令では具体的に明記されていません。

テキストのみの教育には限界があるため、映像などの視覚に訴える教材の活用が推奨されています。

ヒヤリハットの瞬間や、CGで再現された事故事例などの映像を使用すれば、受講者に強い印象を残すことが可能です。

また、正しい操作と誤った操作を比較する動画も、理解を深めるのに役立ちます。

講師の要件

自社で安全教育を実施する場合、教育の講師について、法令で定められた厳密な資格要件はありません。

しかし、受講者の信頼を得た上で、実践的な指導をするためには、相応の知識と経験が求められます。

具体的には、豊富な運転経験を持つ人や、作業計画の作成や指揮に携わる監督的立場の人、安全管理の実務経験が長い人などが選択肢として挙げられるでしょう。

ただ知識があるだけではなく、その危険性を自分の言葉で伝えられる人材が適任といえます。

フォークリフト事故の主な原因

効果的な安全対策を講じるためには、事故が起きる根本原因を深く理解しておきましょう。

労働災害につながりやすい背景には、代表的な5つの原因があります。

それぞれがどのような危険をはらんでいるのか、具体的に解説していきます。

運転操作ミス

フォークリフト事故の原因として最初に挙げられるのが、運転者の操作ミスです。

基本的な運転操作の誤りや、スピードの出しすぎなどが該当します。

日々の作業に慣れてくると、過信が生まれ、操作が雑になりがちです。

運転者のみならず、周囲の作業員にまで危険が及ぶ恐れもあります。

安全確認の不実施

フォークリフト事故の主な原因で、運転操作ミスと並んで挙げられるのが、安全確認の怠りです。

発進前や後退時、見通しの悪い交差点などで、周囲に歩行者やほかの車両がいないかを十分に確認しないまま動いてしまうケースが該当します。

荷物を積んでいると前方視界が遮られる点や、後輪操舵で後部が振れる点など、フォークリフト特有の死角に慣れていない場合にも、事故が起こりやすい傾向にあります。

フォークリフトの点検不足

ブレーキの効きが悪い、タイヤがすり減っている、警告灯が切れている、ヘッドガードが変形しているなど、車両の整備不良が原因となる事故も見られます。

不具合があることを知りながら使用を続けるのは、極めて危険な判断です。

例えば、ブレーキの不具合は制動距離が長くなり、追突事故につながるリスクがあります。

パレットの危険積み

不適切な荷物の積み方が原因となり、荷崩れや車両の転倒を引き起こした事例もあります。

最大荷重を超えて荷物を積む「過積載」や、不安定に荷物を積み上げる「高積み」、重心が偏った状態で荷物を積む「偏荷重」などが、危険とされる不適切な積み方です。

不適切な積み方は車両のバランスを著しく損なわせ、少しの段差・傾斜・緩やかなカーブでさえも、簡単に転倒や荷崩れを誘発します。

作業区域分けの不実施

フォークリフトが走行する通路が明確になっていないことで、ほかの作業者と接触事故が発生してしまう事例があります。

人と車両の動線が分離できていないと、両者が衝突するリスクが高まってしまいます。

作業区域分けは、効率化・品質管理の観点でも重要なポイントです。

フォークリフト事故を防ぐ対策

これまで見てきたように、フォークリフト事故の原因は多岐にわたります。

事故を未然に防ぐためには、個人に対する安全教育と並行して、会社・組織全体で総合的な安全対策に取り組みましょう。

ここでは、安全な職場環境の構築につながる、具体的な事故防止対策を5つご紹介します。

走行通路の明確化

フォークリフトと歩行者の接触事故を防ぐ対策として挙げられるのが、走行通路の明確化です。

加えて、見通しの悪い曲がり角にはカーブミラーを設置し「通路に資材やパレットを置かない」というルールを徹底しましょう。

フォークリフト専用通路と歩行者用通路を区画しつつ、できるだけ死角をなくしていく工夫が求められます。

指差し呼称確認の徹底

安全確認の不徹底による事故を防ぐには「指差し呼称」の習慣化が有効です。

確認すべき対象を指で差し、声に出して安全確認することで注意レベルを高め、見落としや思い込みによるミスを防ぎます。

作業の要所で指差し呼称を実施するよう、フォークリフト運転者に徹底させることが重要です。

安全運転の徹底

運転操作ミスや不安全な積み方をなくすためには、安全運転の基本ルールを継続的に教育し、徹底させる必要があります。

具体的には、構内制限速度の遵守や、急発進・急ハンドル・急ブレーキの禁止といった基本動作の順守です。

積載時には、最大許容荷重を超えていないか確認し、荷物がパレット上で安定しているか、偏荷重になっていないかを確かめる習慣づけが求められます。

また、ドライブレコーダーや稼働管理システムなどの導入も、安全運転の徹底につながる有効策の一つです。

定期的な車両の点検

車両の不具合による事故をなくすためには、法で定められた点検を確実に実施する管理体制が求められます。

具体的な点検項目のチェックリストを用意し、点検者が日付と氏名を記入して、きちんと記録を残すようにしましょう。

危険予知トレーニングの実施

安全意識を高く保ち、危険に対する感受性を高めるためには、定期的な「危険予知トレーニング(KYT)」の実施が効果的です。

実際の作業現場に合わせて「この状況には、どのような危険が潜んでいるか」という点をグループで話し合い、危険なポイントと対策を発表し合います。

潜在的なリスクを洗い出し、実践的な危険予測能力を養うことが可能です。

また、危険予知トレーニングを定期的に行うことで、職場の安全性向上が実現します。

まとめ

フォークリフトの安全な運用には、法に基づいた適切な教育が求められます。

資格を持つ経験者に対して定期的に実施する安全衛生教育は、慣れによる気の緩みを防ぎ、最新の知識で安全意識をアップデートするために極めて大切です。

フォークリフト運転業務において、過去の災害事例から学び、自社の職場環境に合わせた教育を計画・実施していく必要があります。

運転者一人ひとりの心に届く安全教育を実践し、職場の安全を守っていきましょう。

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